各支部発表

コンベンショナルレストレーション(Moderator:木原敏裕先生/鈴木真名先生)

  • カリエスリスクが高い若年者のAsymmetryな歯列不正に対してMIを考慮した包括的なアプローチ

    飯干 光男

    熊本支部

    飯干 光男

    水俣ひかり歯科クリニック

    今回、19歳女性でう蝕傾向が強く、構造的非対称と下顎偏位を伴う欠損症例に対して、矯正専門医と連携し包括的なアプローチを行なった症例を提示し考察する。

    一般的に欠損に対しては、インプラントが用いられる頻度が高く、第一選択になるのは論を待たない。しかし本症例では、患者が若年者であること考慮し、欠損に対しては歯根膜を有する自家歯牙移植で対応した。

    歯根膜感覚を有する歯を最後臼歯まで咬合させることによって、その上でMIにのっとった修復治療を行い、長期経過後のさまざまな変化にも対応しやすい環境で終了したので報告する。

  • 咬合崩壊を伴う患者に対して矯正学的分析を応用した咬合再構成

    中村 航也

    北陸支部

    中村 航也

    中村歯科医院

    日常臨床において重度歯周炎や多数歯カリエスなどにより臼歯部咬合支持の欠如、アンテリアガイダンスの喪失、顎位の不正を伴って咬合崩壊をきたした患者に遭遇することがある。

    このような場合、治療が長期に及ぶだけでなく良好な結果が得られない可能性があることを考慮し、原因の究明と安定した咬合を再構成するための治療計画の立案、治療目標を決定するための診査診断が重要になる。

    とくに顎位、咬合高径、咬合平面に対する診査が重要であるが一つの項目を診査するだけでも、複数の診査方法が考えられる。
    しかし、顎位の不正および咬頭嵌合位を失った多数歯欠損症例において、咬合高径や咬合平面の設定に関して苦慮することが多い。

    そこで今回、長期にわたり歯科治療を受診しておらず放置していたために多数歯カリエスにより咬合崩壊を伴う患者に対して、咬合平面および咬合高径の設定の基準の一つとして術前術後の状態が客観的な数値として把握できるセファロ分析を応用し、顎顔面の形態的特徴に調和した咬合再構成を行った症例を報告する。

  • 安定した下顎位獲得に苦慮した咬合再構成

    吉田 茂治

    東京支部

    吉田 茂治

    パークサイドデンタルオフィス

    咬合再構成を必要とする症例のなかには、長期間にわたる不適合修復物の装着により下顎位が不安定な状態となり、これを安定、収束させるために苦慮するケースがある。患者は54歳女性。左下に装着されたブリッジおよび上顎前歯部クラウンのかたつきと咬合痛、咀嚼時の下顎の偏位の改善を主訴に、全顎的な回復を希望して来院。診査の結果、歯周炎をはじめ、既存修復物全てが不適合かつ二次齲蝕に罹患。保存不可能な歯が多数存在した。また、ICPと顆頭安定位は一致せず、咬合高径の低下も認めた。問診からパラファンクションの存在が示され、咬合崩壊をもたらした一因であると疑われた。全顎的な咬合再構成が必要であると診断し、安定したバーティカルストップの確立のためインプラントによる臼歯部咬合回復と、偏心運動時に臼歯離開が行える適切なアンテリアガイダンスの回復を計画した。しかし実際の治療は、待時期間中の義歯の使用、広範な骨造成、矯正治療、いずれも受け入れてもらえないという制約の中で様々な工夫を求められるものとなった。 今回の治療を通じて学んだことを含めてご報告させていただきます。

  • 不適切な歯の対向関係に対し、補綴的なアプローチにより咬合再構成を行った症例

    鈴木 直樹

    京都支部

    鈴木 直樹

    すずき歯科クリニック

    崩壊しつつある咬合を再構築する場合、咬頭嵌合位を安定させるとともに側方滑走時の誘導路を犬歯に求める臼歯離開咬合の優位性が力学的および筋活動量的な見地から証明されている。

    実際のところ臨床の場において骨格的な不調和により犬歯の不適切な対向関係を生じ、犬歯誘導による臼歯離開咬合を与えることが困難な症例にしばしば出くわす。このような症例の場合、インターディシプリナリーの概念に基づいてまずは矯正治療により歯のポジションの改善を図ることが有効である。しかしながら矯正治療がもたらす効果とリスクを患者の年齢を考慮したうえで比較検討を十分に行い犬歯の不適切な対向関係の程度によっては補綴治療のみで対応することも治療の選択肢としては充分な優位性を持ち合わせると考える。

    本症例では骨格性2級の患者における咬合再構成を歯のポジションを変えることなく補綴形態に技巧を凝らすことで対処し、長期的な機能安定を目指した。

  • 『みること』で得られるもの

    河野 通史

    新潟支部

    河野 通史

    いとう歯科クリニック

    イクロスコープのメリットは、術野の拡大表示、同軸照明、記録映像によるプレゼンテーションが可能なことなど多岐に渡る。

    しかしながら近年普及が進んできているとはいえ、マイクロスコープの導入に踏み切れていない歯科医師がまだ多くいるのが現状である。特に経験症例の少ない若手歯科医師は診療そのものの経験が少ないことも加わり、マイクロスコープの導入は非常に高いハードルになっていると考える。

    しかしながら早期にマイクロスコープを導入することで、より正確に『みる』ことが可能となり、診療の精度や技術が向上するため、導入することの困難さに勝り得るものがある。

    本講演では、経験年数の少ない私が実際にマイクロスコープを導入して行った形成や根管治療などの症例を報告したい。

審美修復治療(Moderator:土屋賢司先生/松川敏久先生)

  • Recovery of previous interdisciplinary approach - prostho and ortho -

    山脇 将貴

    大阪支部

    山脇 将貴

    山脇歯科医院

    [緒言]現代の歯科医療において、interdisciplinary approachの優位性は明らかである。しかし、一方でinterdisciplinary approachは難易度の高い症例に適応されるため、必ずしも成功するとは限らない。時として成功とは言えない結果となることもある。今回過去にinterdisciplinary approachによって治療された患者の再治療を経験し、良好な結果を得た症例を報告する。

    [症例の概要]患者は60歳女性、主訴は上顎左側前歯補綴装置の脱離。審美的、矯正的、補綴的診査診断の後に治療計画を立案し同意を得た。初期治療に限局矯正を行い、確定的外科として上顎左側犬歯部に埋伏歯抜歯と同時の骨造成、インプラント埋入、角化歯肉付き上皮下結合組織移植を、上顎左側中切歯、側切歯、第一小臼歯の露出歯根面に上皮下結合組織移植による根面被覆を行った。修復処置としてプロビジョナルレストレーションによって最終補綴装置の形態を模索し、審美性・機能性・構造力学・生物学的恒常性の各要素を満たしていることを確認して、最終補綴装置をPorcelain Fused Zirconia Crownによって作製し装着した。

    [考察]interdisciplinary approachでは各専門医が同じ治療目標を共有しなくてはならないが、それには各専門医に他の分野の深い知識と連携手順そのもののイメージの共有が不可欠である。

  • Midlineについて深慮した審美修復についての考察

    大井手 和久

    広島支部

    大井手 和久

    あいおい通り歯科クリニック

    咬合崩壊の一途をたどる患者においては、下顎の偏位のみならず、上顎を含めた顎顔面そのものに歪みを生じていることが散見される。

    それらを正常に戻すためのステップの中で、患者の希望に寄り添い、より機能的に、より審美的に理想にアジャストすることが我々の努めだと考える。

    今回は特に審美的な治療目標設定の基準となるmidlineについて掘り下げ、考察した症例について諸先生方のご指導とご助言をいただきたい

  • ブラキサー患者に対するMIによる審美的アプローチ

    鈴木 祐

    東北支部

    鈴木 祐

    大岸歯科クリニック

    修復治療を行う目的は、失われた「審美性(Esthetics)」と「機能(Function)」を回復させ、残存組織の保全を行うことである。また、予知性の高い永続性のある治療を施すには、「構造力学(Structure)」「生物学的恒常性(Biology)」を満たす必要がある。更には近年、MI(Minimal Intervention)の概念が定着し、生体に対し最小の侵襲で最大の審美的・機能的効果が求められている。

    今回提示する症例は、ブラキシズムによる上下顎前歯部審美障害を主訴に来院した患者に対し、全顎的にMIを念頭に置いたセラミック修復治療を行い、審美性と機能の回復を図った症例である。ブラキシズムにより失われた歯質の回復と適正な顎位をレジンオーバーレイを用いて評価し、可能な限りエナメル質に限局したラミネートベニア、セラミックオーバーレイを中心に機能を兼ね備えた審美的アプローチを試みた。本症例を通して、諸先生方のご指導、ご助言を仰ぎたい。

  • Life stage と予知性を考慮した審美修復治療

    中島 圭治

    福岡支部

    中島 圭治

    中島歯科医院

    審美修復治療を行う際、顔貌や口唇と調和した審美を目的とした診査を行い、口腔内環境の長期維持安定を目的とした機能の改善を達成することが重要である。これらに加えて、治療に際しては患者年齢や生活環境を考慮した治療介入時期と適切な治療侵襲を心掛けるべきであり、特に抜歯や歯牙切削などの不可逆的な治療介入は、将来的な次の一手となる選択肢を多く残す為にも慎重に行う必要がある。

    今回、左上中切歯の失活変色を起因とした審美障害を主訴に来院した初診時26歳女性に対し、先天欠損を含む歯列不正、顔貌に対する咬合平面の異常、正中の不一致や歯軸異常、歯牙形態不良など、診査で得られた審美・機能に関する問題点を提示し、全顎的治療の必要性に対する理解は得られたが、患者希望により、将来的な全顎治療介入を視野に入れた局所治療で対応した。

    初期治療終了2年6ヶ月後、患者は全顎治療を希望し再来した。改めて全顎的な診査を行い、矯正治療と補綴修復治療を施すことで審美と機能の改善を図った症例を報告させて頂き、皆様のご助言を賜りたく思う。

  • フルマウスリコンストラクションにおけるシークエンシャルトリートメントプランニングの実践

    寺坂 弘司

    四国支部

    寺坂 弘司

    てらさか歯科医院

    フルマウスリコンストラクションを成功させるためには、調和のとれた上下顎歯列弓(歯列の保全)と安定した咬合(咬頭嵌合)は必須である。何も考慮せずに、これらを無視した修復治療を行うことは良好な予後を望めず、徐々に口腔内の崩壊が進行していく。

    今回提示する症例の患者は43歳女性。幼少の頃から多くの歯科治療を受けてきたが、常に問題を抱えていた。ただ闇雲に行われた治療は問題解決には至らず、長期にわたり前歯部の審美障害とそれに伴う顔貌の不調和、そして咬合不全を生じていた。

    骨格的にはⅢ級を呈し、上下顎歯槽骨の不調和と叢生により咬頭干渉が生じていた。またアンテリアガイダンスが機能しないことにより下顎側方偏位が生じ、左上がりの傾斜を呈する咬合平面を認めた。

    歯列不正と咬合の問題が大きく関与していることが推察される本症例に対し、SJCDコンセプトに準ずるシークエンシャルトリートメントプランニングの実践を確実に進めていった。その結果、患者のQOLを向上させ、素敵な笑顔を取り戻すことができたので報告をさせていただく。

インプラント治療(Moderator:伊藤雄策先生/小濱忠一先生)

  • Immediate Implant Placement in Posterior Zone :
    Surgical and Prosthetic Strategies for Avoiding Peri-implantitis

    下地 恒太郎

    福岡支部

    下地 恒太郎

    オキナワ・デンタルオフィス

    近年、インプラント治療の普及に伴い、その合併症であるインプラント周囲炎への対応を問われる機会も増加している。特に臼歯部は、角化歯肉幅の減少や口腔前庭の狭小化を伴う場合も多く、インプラント周囲組織の炎症や喪失を来しやすい環境と言える。

    清掃性・自浄性の高い補綴設計を可能とする埋入時外科処置は、インプラント周囲炎に対する治療戦略の第一歩となるが、埋入深度の設定が行いやすく、上部構造に対し適切なエマージェンスプロファイルを付与できる点において、抜歯即時インプラント埋入は優位性の高い術式と考えられる。加えて、術後の予知性を高める目的で行うインプラント周囲組織に対する造成術や、上部構造の適合性向上の目的で応用されるCAD/CAMシステムの選択等、インプラント周囲炎発症原因に対して検討する項目は多い。

    今回、45歳女性に対して、臼歯部多数歯抜歯即時インプラント埋入と、埋入時ならびに埋入後の組織造成術を行い、インプラント周囲炎に配慮した上部構造を用いることで、インプラント周囲組織と機能の長期的な維持安定を図った症例を報告する。

  • 広汎型侵襲性歯周炎患者におけるインプラント治療
    Implant Therapy in Generalized Aggressive Periodontitis

    山口 文誉

    東京支部

    山口 文誉

    山口歯科医院

    『歯周疾患の既往』は、十分にエビデンスのあるPeri-implant diseaseのRisk indicatorとして挙げられ、インプラントの長期生存におけるRisk Factorであると報告されている。しかし、インプラント治療前後において歯周炎の炎症が十分にコントロールされていれば、歯周炎でない患者に対するインプラント治療と同等の良好な臨床結果を得られることが解っている。では、歯周炎に対しさらに感受性の強い『侵襲性歯周炎患者』に対するインプラント治療はどうだろう? 2012年Swierkotらの3年〜16年に渡る前向き長期報告によると、慢性歯周炎および歯周炎でない方と比較して『広汎型侵襲性歯周炎患者におけるインプラント治療』の失敗率は約5倍も高く、インプラント周囲粘膜炎の罹患率は約3倍、インプラント周囲炎の罹患率においては約14倍もリスクが高いことが報告されている。従って、『広汎型侵襲性歯周炎患者におけるインプラント治療』は、より慎重なアプローチと厳重な術後管理が求められる。今回は、現在までに発表された入手可能な報告を基に『広汎型侵襲性歯周炎患者におけるインプラント治療』に関し、文献的考察を交えながら症例報告したいと思う。

  • 重度咬合崩壊症例におけるインプラント治療のマネージメント

    須田 善行

    北海道支部

    須田 善行

    さっぽろ石山通り歯科

    多数歯の咬合崩壊症例の再治療と対峙する場合、長期的に安定した状態を維持することを治療のゴールに設定し、入念な診査診断から治療計画の立案が必要である。しかし、治療対象となる患者がこれまで受けてきた治療の時間、費用、そして患者の年齢というライフステージを勘案すると、治療計画と術前診断に於いて一般的な治療アプローチだけではなく、ある程度、患者側の希望に寄り添った治療の進め方も、時には必要なアプローチと考えられる。それゆえ、全顎再治療症例の咬合再構成は、少数歯欠損から多数歯欠損そして無歯顎症例の診断・術前治療計画を複合的に適応し、さらに患者の年齢やこれからの健康寿命の期間を考慮に入れた補綴物設計や選択も検討することが必要と考えられる。

    今回演者は, 多数歯の咬合崩壊症例に対し歯科用インプラントを用いて咬合支持を回復することを選択し、患者の様々な要求に応じながらの術前治療計画から外科処置、そして全顎的な補綴治療を行い良好な結果を得たのでここに報告する。

  • Implant Supported Partial Denture

    池村 仁克

    名古屋支部

    池村 仁克

    カメリア歯科矯正クリニック

    重度の骨吸収を有する患者に対し咬合支持および機能の回復を行う場合、治療法の選択としてインプラントかパーシャルデンチャーの治療法の選択が難しいことが少なくない。

    今回発表する症例の患者は67歳女性、上顎左側臼歯部の疼痛を主訴に来院された。 定期的な歯科受診はなくペリオと力の問題による骨吸収が散見され、多数の不適合修復物やカリエスによる審美障害を訴えていた。  上顎臼歯部においてはインプラント支持による部分床義歯を用いることで、外科的な侵襲を最小限に抑えつつ確実な咬合支持を獲得することとし、カリエスを伴う上顎前歯の審美性の回復は限局矯正とクラウンによる修復治療、その他欠損部にはそれぞれインプラント及びクラウンブリッジ修復にて対応する計画とした。

    適切にマウスプレパレーションの施されたパーシャルデンチャーは、インプラントによるサポートにより強固な咬合支持の獲得が可能である。

    症例において、テクニシャンと綿密に連携して治療を進めていった結果、強固な咬合支持の獲得と審美性において良好な結果が得られたので報告する。

  • 歯周病患者におけるフルマウスリコンストラクション症例

    谷尾 和正

    大阪支部

    谷尾 和正

    医療法人タニオ歯科クリニック

    日々の診療において、様々な原因により咬合再構成が必要な患者が来院される。 咬合崩壊を起こした患者に対し、咬合再構成を施術する場合、現在の状態に至った原因を知るため精密検査を行い、診査診断を行なった上で治療計画を立案していく。

    また歯周組織の安定、顆頭の安定、下顎の垂直的、水平的な安定、そして前歯部の適正な誘導路の確保、臼歯部の咬合安定の確認を行いながら治療を進めていくことが必要不可欠である。

    今回の発表は、重度な歯周病のリスクを持つ患者に対し咬合再構成を行なった症例の報告をする。

    適正なアンテリアカップリング・バーチカルストップの確立、咬合平面の改善を行い、審美性、清掃性の改善のために必要な部位には骨造成、歯肉移植を伴ったインプラント治療を行い、保存可能な歯牙に対しはエムドゲイン、NBM(ウシ由来骨ミネラル)を使用した再生療法等を用い出来るだけ保存し治療を行なった。

    数度にわたるプロビジョナルレストレーションを用いて技工士、衛生士と共に上部構造における術後の清掃性、咬合の安定が備わった補綴物形態を模索、確定し、さらに得られた情報をファイナルプロビジョナルレストレーションをクロスマウントすることにより補綴物に長期維持安定が与えられるよう努めた一連の治療の流れを報告する。